『第144話』 高脂血症の治療、まず食事と運動

動脈硬化が原因で起こる脳卒中、狭心症、心筋梗塞(こうそく)は沈黙の病気といわれる。動脈硬化は血管の壁に脂質、繊維、カルシウムなどが蓄積して血管を狭め血流障害を起こす病態をいうが、特に自覚症状もなく見かけ上健康であるため、これを予防するには定期的な検査が必要だ。

血液中の脂質が標準域を越えている状態を高脂血症といい、動脈硬化の危険因子となる。脂質とは脂のことで、主にコレステロールと中性脂肪の値が問題だ。1デシリットル中の総コレステロール値が250ミリグラム以上になると動脈硬化はより進行する。

これらの値は遺伝的にあるいは他の病気に合併して上昇することがあり、また一部の薬剤=経口避妊薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモンなど=によっても高くなる。しかし、それらを除けば日ごろの高脂肪、高カロリー食、アルコールの常飲、運動不足が原因となる。

日ごろ運動しない人は歩行や速足でもよい。運動量を増やすことよりも持続させることの方が重要だ。たとえ体量が減少しなくても、皮下脂肪が減ると脂質の検査値は改善されるので、体重計の数値にあまりこだわらないことだ。

食事に関してはコレステロールを多く含む食品(バター、卵黄、モツ類、すじこなど)を減らし、植物油や魚介類に含まれる不飽和脂肪酸をとるようにしたい。また、食物繊維はコレステロールの排せつ量を増加させる。

高脂血症の治療はまず食事療法と運動療法が基本となる。薬は弱いものから強いものまで多種類あるが、薬を併用することになっても薬に頼りきらないようにしたい