『第155話』 眠気や渇き催す、抗ヒスタミン剤

「このお薬は抗ヒスタミン剤ですから」と説明すると「じゃ、眠くなりますね」と患者さんに先に言われることがある。抗ヒスタミン剤はじんましんや鼻炎のときなどに出るおなじみの薬だ。

ヒスタミンは体のほとんどすべての細胞にある物質だが、特に肥満細胞と呼ばれる細胞に大量に蓄えられている。肥満細胞は皮膚、気道、消化管に多く分布しており、抗原抗体反応が起きたときや化学的、物理的刺激を受けたときにヒスタミンがこの細胞から飛び出してアレルギーやアナフィラキシー、炎症などを引き起こす。

飛び出したヒスタミンはH1、H2、H3と呼ばれる3種類の受容体と結合する。

ヒスタミンがH1受容体と結合すると気管支筋が収縮する。また血管が拡張し、血管透過性が高まって浮腫(ふしゅ)やかゆみといったアレルギー症状が出る。

H2受容体に作用すると、胃液の塩酸分泌が促進される。H3受容体に作用したときのことははっきり分かっていない。

抗ヒスタミン剤とはこの受容体を遮断(ブロック)してヒスタミンが受容体と結合しないようにする薬だが、一般的にいわれる抗ヒスタミン剤とはH1受容体をブロックする薬をいう。

H2受容体をブロックする薬はH2ブロッカーと呼んで区別し、胃酸分泌抑製剤として胃かいようや十二指腸かいようの特効薬として使われている。

抗ヒスタミン剤(H1ブロッカー)は製剤によって個人差が出やすいが、副作用としては眠気やけん怠感、口の渇きなどがある。これらの作用はアルコールで強められるのでお酒は控え、車の運転もしない方がいい