『第160話』 暑い日の運動は放熱機能考えて
ジョギングを日課にしている人は暑い日も休まない。また、ゴルフやテニス
予約がやっととれたからと、無理をして炎天下でプレーする人も多い。
人間の体は体温が上昇すると、皮膚表面の血流量を増やして血液の熱を皮膚から放散する。さらに、発汗作用が働いて汗を蒸発させる。その際、気化熱が奪われて冷却作用が生じ体温は下がる。もし人間にこのような放熱機能がなかったら、体温は十分間のランニングで容易に40度に達してしまう。また、高温下で激しい運動をすると、体温の急激な上昇に放熱機能が追いつかなくなる。
熱に最も弱いのが脳と心臓だ。体温が40度前後になると脳の活動は低下し、意識がなくなり死亡することもある。いわゆる熱射病、日射病と呼ばれるものだが、このようなときは涼しい場所に体を移して冷たいタオルなどで頭部と体を冷やす。
体が体温を下げようとして皮膚表面の血流量を増やし続けると、心臓へ戻る血液の量が減ってくる。このため血液循環が悪くなって冷や汗、脱力感、血圧低下、顔面蒼白(そうはく)などのショック症状が起こる。このようなときは0.1~0.2%の食塩水を補給し、横になって頭を低く、足を高くして安静にする。
多量の発汗によって体内の塩分が不足したときは、激しい筋肉痛とけいれんが起こるので、水分と塩分の補給を忘れないようにしよう。
気温が30度で湿度が80%以上なら運動は中止すべきだ。たとえ気温が低くても、湿度の高い日は汗が蒸発しにくいので、放熱機能はうまく働かない。汗が乾かず流れ落ちるような日は要注意だ