『第166話』 補聴器の使用は軽度の難聴から
年をとればだれでも多少は耳が聞こえなくなる。しかし、音全体が聞き取りにくくなっているわけではなく、高い音に対しての聴力は落ちるが、会話などの中音域の音は聞き取ることができる。どうせ聞こえないと思って言った悪口が、相手にはしっかり聞こえていることがあるのもこのためだ。
聞こえないという訴えの中には、何か話をしているのは聞こえているがその内容を理解できないという場合がある。これは加齢とともに言葉を聞く能力が低下してきたためで、音は聞こえても言葉としてキャッチできなくなってくるためだ。
年をとって難聴になったとき、特に原因となる疾患もない場合は老人性難聴と呼ばれ、薬物療法は行わない。
会話などの中音域が聞き取りにくくなってきたら補聴器を使用する。補聴器には耳あな式、耳かけ式、ポケット式などがあり、それぞれに特徴がある。自分の耳に合うものを選ぶためには直接販売店に行くのではなく、まず耳鼻咽喉(いんこう)科で診察を受け、純音聴力検査、語音明瞭(めいりょう)度検査をしてもらい、どちらの耳に付けるのがよいかなども判断してもうおう。
適切な補聴器であっても本人がそれに慣れるには少なくとも1カ月以上かかる。
補聴器はすべての音をマイクロホンで集め、それを拡大して耳に伝えるため、最初のうちはさまざまな音が一緒に入ってきてうるさく感じるが、徐々にその中から自分で聞きたい音だけを選択できるようになる。
補聴器は便利だが、細かな調節や訓練が必要なので高齢になるまで我慢せず、軽度の難聴から使用し慣れるようにしてほしい