『第167話』 筋肉が硬くなり血液の循環悪化
編み物や読書に夢中になっていると肩や首が凝る。ワープロやパソコン業務といった、わきを固めて指先だけを細かく動かす仕事も肩凝りを招く。
動きの少ない作業を長時間続けると、肩甲骨周辺の限られた部分の筋肉が収縮し硬くなる。硬くなった筋肉は血管を圧迫して血液循環を悪くする。このとき大きな動作をすると、血行が良くなって筋肉からの代謝物質が回収されるが、血行が悪いままでは老廃物や疲労物質が回収されずに蓄積する。これらの物質は筋肉をさらに収縮させ、それが神経を刺激して痛みを起こす。この痛みの信号が脳に伝わると、それに反射してさらに筋肉が収縮するという悪循環にはまってしまう。
肩凝りが一般に男性よりも女性に多いのは、女性の肩がなで肩であるためだ。なで肩で首が長くきゃしゃな女性は首の周りの筋肉が弱く、作業の負担が大きくなる。
肩凝りの痛みをとるには非ステロイド性の消炎鎮痛剤が使われる。内服薬のほか、塗り薬もある。
硬くなった筋肉をほぐすには筋弛緩(しかん)剤を使用する。ただし、この薬は筋肉を緩めることになるので、だるさや眠気が生じ、機敏な運動ができなくなることがある。
また、属凝りは精神的疲労からも起こりやすい。ビタミン剤は神経や筋肉の疲労に有効で、特にビタミンB1は神経ビタミンと呼ばれ鎮痛剤の分量を減らすのに一役買うことができる。
血行を良くするためには入浴や禁煙も効果がある。夜更かしをせず、まくらは柔らかいものより硬めのものを選ぼう。
狭心症などでも肩凝りは起きる。日ごろ、肩凝りに無縁の人が肩凝りを感じたり、いつもの凝りと違う肩凝りを感じたりしたら要注意だ