『第174話』 薬に関する相談、消費者から毎日

当医薬品情報センターには一般消費者から毎日3、4件の薬に関する相談が寄せられる。ほとんどが医療機関から出る医療用医薬品に関することだ。大衆薬とは異なり、包装も添付文書もないブラックボックスのような薬に不安を抱くためだろう。薬局、薬店で相談して購入するためか、大衆薬に関する相談はほとんどない。

医薬品の安全性などに関する消費者の関心の高まりを受けて、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法が改正され、ことし7月1日から一般消費者からの相談受け付けや情報提供サービスを行う「消費者くすり相談事業」を医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構が実施している。常時3人態勢で6人の薬剤師が交代で相談を受ける。利用できる日時は月曜日から金曜日(祝祭日および年末年始を除く)までの午前9時から午後5時まで。電話03・3506・9457で電話だけの相談を受け付けている。

この事業を円滑に行うための協力態勢も整備され、厚生省、日本薬剤師会、日本製薬団体連合会傘下の600社が連携システムを組んでいる。当センターも身近で、より詳細な情報提供のために協力している。

相談事業が開始された7月の相談件数は全国で600件に及んだ。しかし、相談者の7、8割は首都圏に集中しているようだ。このほか、医薬品メーカーでも自社の製品に関する相談を受け付ける専用電話を設ける動きが活発化してきている。

全国には44カ所の医薬品情報センターがある。いずれも各県の薬剤師会が運営しており、「くすり110番」を設けて相談業務を行っている。当センターの相談者は匿名がほとんどで、神奈川県から問い合わせがあったこともある。

病気に関することは、最も人に知られたくない秘密である。「かかりつけ薬局」をはじめとするより多くの相談窓口が設けられ、自由に選択、活用できる態勢が整備されることを望みたい