『第175話』 血圧降下剤では副作用に注意を
「どんな血圧降下剤を服用していますか」と聞かれて「利尿剤とカルシウム拮抗剤」とか「ベーター・ブロッカー」などと、専門的に答えることができる人がいる。
体が血圧を上げるメカニズムには何通りかある。薬もそれに応じて降圧利尿薬、交感神経作用薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗剤およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の5つに大きく分けられる。
塩分の取り過ぎで血圧が上がることはよく知られている。そこで尿をたくさん出して体内の食塩を排せつし、血圧を下げるのが利尿剤だ。
カルシウム拮抗剤は年齢に関係なく使用でき、降圧効果が安定していることから広く使われている。カルシウムというと骨や歯を作っているものを想像しがちだが、ここでいうカルシウムはそれとは意味が違って、血管平滑筋細胞の膜にカルシウムイオンという状態になって存在しているものをいう。カルシウムイオンが膜から細胞の中へ入っていくと血管が収縮して血圧が上がる。このカルシウムイオンが細胞内へ流れ込まないようにするのがカルシウム拮抗剤だ。これにより血管の緊張がとれて血流量が増し血圧が徐々に下がるが、この作用は同時に顔面紅潮、熱感、のぼせ、動悸(どうき)といった副作用を自覚させることにもなる。
ベーター・ブロッカーは交感神経系の過剰な刺激を遮断する薬だ。こうすると心臓の拍動を強めて血管を収縮させるカテコールアミンの働きを抑えることができる。また、この薬は血糖降下剤の作用を増強するなど他の薬剤との相互作用も多い薬だ。
降圧剤は長く付き合うことになるので、軽い副作用でも医師や薬剤師に相談しよう