『第190話』 当たり年の花粉症、体温めるのも有効

今年は花粉症の当たり年だ。花粉量は前年の夏の気候に影響される。スギの雄花は7月から8月にかけて生長し、暑くて日射量が多いとたくさんできる。去年の夏はとにかく暑かった。従ってこの春はスギ花粉情報に神経を使う必要がある。

ところで花粉そのものは無害である。しかしこれが体にはいるとその表面からタンパク質が溶け出し、これを異物(抗原)と認識した体がその異物を攻撃排除しようとして抗原抗体反応を引き起こす。その結果、体内のヒスタミンやプロスタグランジンといった物質が平滑筋を収縮させ、くしゃみを起こし、血管を拡張させて鼻汁や涙を引き起こす。

人間の体には異物を認識しても、抗原抗体反応が過剰にまた不必要に働かないような抑制機構も備わっている。花粉症の人はこの機構がなんらかの原因でうまく働かない。そして花粉を異物と認識してしまうと花粉の抗体をせっせと作ってしまう。花粉症はスギに限らず約40種ほどの植物で起きることが報告されている。

この体質を変える薬がない現状においては抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤で症状を抑える治療が主体になる。

鼻呼吸は約3時間ごとに左右の鼻腔(びくう)の働きが変動し、昼間は鼻腔の抵抗が少なく空気がスースー通るのに対し、夜は逆に鼻腔の抵抗が強く、空気の通りが悪くなるといったサイクルがある。鼻炎症状があるとき鼻詰まりが夜間ひどくなるのはこの理由による。気管支筋の収縮も夜の方が強く、理論的に抗ヒスタミン剤は昼より夜に多く服用するほうがよいことになる。

精神的なストレスで自律神経のバランスを崩すと鼻の粘膜は過敏になる。緑黄野菜を多く取り、睡眠不足や疲労をためないようにしよう。

冷え性も花粉症の一因といわれる。入浴剤を使い、ぬるめのお湯でゆっくり体を温める。また洗面器に熱いお湯をはり、湯気を吸い込んで鼻の粘膜を温め湿り気を与えるのも効果がある