『第193話』 コレステロールは半分が食事に由来
コレステロールにも善玉とか悪玉といった呼び名が与えられて、以前ほど悪いイメージはなくなった。体内のコレステロールは約50%は食事に由来し、残りは生体内で合成されるが、その半分は肝臓で作られる。
コレステロール自体には善も悪もなく、細胞の膜を作ったり、ステロイドホルモンや胆汁の材料になるなど生体にとっては不可欠な物質だ。あくまでも過剰のコレステロールが問題を起こす。
コレステロールは脂肪で水に溶けにくく、このままでは血液の中を移動できない。そこで特殊なタンパク質と結合したりポタンパクという形になって血中を行き来する。
肝臓で作られたコレステロールはLDLと呼ばれるリポタンパクの形に変えられて全身の組織に運ばれる。LDLが多くなると血管壁や組織にコレステロールが付着して動脈硬化や心筋梗塞(こうそく)を招く。そのためLDLは悪玉コレステロールと呼ばれる。
逆に、使用されずに余った悪玉コレステロールを末しょう組織や血管からはぎ取って肝臓に運んで来るのがHDLと呼ばれるリポタンパクである。善玉コレステロールと呼ばれるのはこのHDLのことだ。
LDLやHDLというのはリポタンパクの中の脂肪とタンパク質の構成比から生じる比重によって区別される。両者のバランスがとれていると血管壁や組織にコレステロールはたまらない。
動物性脂肪を多く取るようになると悪玉コレステロールが増え、肥満や喫煙は善玉を減らす。
総コレステロール値が正常値でもHDL値が低く、LDL値が高いと動脈硬化の方向に進みやすい。薬物治療は食事療法と運動療法の効果が得られないとき、行われる