『第199話』 規制多い薬のCM、疑問点は薬剤師に

英語で医師はドクター、看護婦はナース、ここまではよく知られているが、では薬剤師は?薬剤師はファーマシストという。ファーマシーは薬店や薬局を意味する言葉だが、もともとはギリシャ語の「混ぜる」という意味からきている。従って混ぜる人とでもいうことになるだろうか?

ところで医学や薬学が進歩し始めたのは19世紀に入ってからで、時期を同じくして印刷物が充実し始め、新聞や雑誌には商品広告が掲載されるようになった。

当時のアメリカでは医師が少なかったこともあって、一般の人の病気や薬に対する知識はほとんど皆無だった。そのため金もうけの商品として薬の広告が異常に発達し、1種類の薬で10~20の効能をもつインチキ薬も数知れなかった。

また字の読めない人も多かったので瓶にはレッテルを張らず、瓶の形で薬の種類分けをしていた。有名な薬の多くは洋なし形瓶や、円すい形瓶といった具合にそれぞれが独特の形をしていたので、瓶を見るだけで容易に薬の名前が分かった。

そのため、古瓶を集めて偽薬を詰めたり、高い薬の空瓶だけを大量注文するものが現れて、いかさま商売に拍車がかかった。

こうしたことが契機になってアメリカ各州には不正広告排除の法律がある。日本では昭和30年ごろまでは薬の広告を規制する法律はなく、医療用の薬が一般の人に宣伝されていたり、誇大広告も多かった。その後、厚生省が適正広告基準を作ってからはそのようなことはなくなったが、「副作用がないので安心」といった表現は今でも使えない。とにかく薬のCMには規制が多い。疑問があれば何でもファーマシストに聞いてほしい