『第209話』 シラミ消滅せず、時折集団発生も

戦争を経験した両親は、白いDDTの粉末を体中に噴霧された。確かに衛生状態は悪かったがシラミ退治によくそんなものを使ったものだと戦後の思い出を語る。

しかしケジラミは全く消滅したわけではなく、忘れかけたころ学童の中で集団発生する。

人に寄生するシラミは、頭髪に生息し、頭皮から吸血してかゆいアタマジラミ、陰毛に生息しかゆいケジラミ、衣服や家具にたまったほこりにいるコロモジラミの三種がある。

ケジラミは動きが緩慢で見つけやすいが、アタマジラミは動きが速く、成虫を見つけるのは難しい。そこで診断には虫卵を見つける方が容易だ。虫卵は後頭部に多く、フケのように見えるが固着しているので判別はつく。髪の毛に付いたフケなどとアタマジラミの卵とを確実に見分けるには、アミノ酸の分析に使うニンヒドリン試薬を使う。卵と思われる異物が付いた髪をこの液に5分間漫した後、ろ紙上に置いて5~10分後に色の変化を見る。卵であれば変色せず、白色~黄白色だが、頭髪や皮膚由来のものであれば紫~黒色に変化する。

治療薬剤はピレスロイド系殺虫剤のスミスリンパウダーが用いられる。用法・用量は、頭髪であれば1回7グラム、陰毛には1回2グラムを散布し、潜んでいる部分まで手やくしで十分行き渡るようにする。そして散布後、1~2時間程度そのままにし、水、せっけんなどで洗い流す。この処置を1日1回、2日おきに3~4回繰り返す。また、下着類、寝具、床、畳には1平方メートル当たり15グラム程度を散布する。

治療中は、洗髪を2週間をめどに毎日行う。目の細かいくしで髪をよくすく。まくらカバー、シーツ、タオル、下着を清潔にする。タオル、帽子、スカーフなどを共用しないことなどが必要だ。

薬剤は虫卵に対しての効果が弱いので、虫卵のふ化期間を考慮して、10日以上の治療期間を要する