『第221話』 イライラ防止にカルシウム摂取

その昔から「三大鎮静植物」というのがある。カノコソウ(鹿子草)、チョウトウ(釣藤)、トケイソウ(時計草)と呼ばれる植物がそれである。これらは実際に不眠やイライラを抑える薬として市販されているがこのような一部を除いて睡眠薬や精神安定剤は医師の処方せんがなければ手に入らない。

精神安定剤はトランキライザーとも呼ばれるが主に、過度の不安を抑える作用、催眠作用、筋弛緩(しかん)作用の三つの作用を持っている。精神安定剤で肩凝りが和らいだりするのも筋弛緩作用があるからだ。

服用後は体がだるくなったり、ポーッとすることがあるので、危険な仕事や車の運転前には飲んではいけない。

風邪薬を飲むと眠くなるのは中に抗ヒスタミン剤と呼ばれる成分が含まれているからだが、これを不眠の患者に使うこともある。抗ヒスタミン剤は湿疹(しっしん)やじんましんなどのかゆみを抑える薬だが、中枢神経を抑制するために副作用として強い眠気を伴う。しかしかゆくて眠れないという患者にはうってつけの薬にもなる。

カルシウムの不足がイライラにつながることもかなり前から実証されている。

漢方薬の柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりょうこつぼれいとう)はカルシウムによる鎮静作用を狙ったもの。竜骨は象や牛など大型ほ乳動物の化石化した骨のことで、牡蛎はカキの貝殻のことだ。柴胡はミシマサイコの根で筋肉(平滑筋)を弛緩させたり、中枢神経を抑制させ自律神経の調節に働く。漢方の精神安定剤としては他に半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などもある。

また棗(なつめ)やホップにも鎮静効果がある。案外、薬よりビールの方が効くという人も多いことだろう