『第223話』 潤いあるのどと栄養で風邪防げ
師走。忙しい時期には体が疲れやすく、風邪はこんなときを狙っている。風邪をひかないためのポイントは二つ。
一つはのどを乾燥させないこと。もう一つは空腹にしないことだ。
実はだ液の中には天然の感染防御成分が入っている。またのどの粘膜には塩化リゾチームという物質が含まれているが、これは炎症を起こした部分を清浄化する薬として実際に使用されているものだ。
のどが乾燥するとこれらの防御機構が働かなくなって風邪につけいられるスキを与えてしまう。腰房中は加湿器を使用したり、だ液があまり出ないような人は水分を多く取り、ノンシュガーのアメをなめたり、ガムをかんだりするのもよい。
だ液が出なくなるという副作用を持つ薬もある。鎮痙(けい)剤とか抗コリン剤などと呼ばれる薬で、消化管の痙縮による腹痛や下痢、過敏性腸症候群(下痢)の治療に使用される。またぼうこうの痙縮も抑えるので尿失禁や夜尿症にも使われる。また一部の抗うつ剤や不整脈治療剤の中にも口の中が乾くものがある。
口の渇きが気になったり、日ごろからのどが弱い人はトローチで予防するのもよい。
空腹は体の冷えにつながる。十分に食事をとらないと体の基礎代謝や免疫力が落ちて風邪をひきやすくする。風邪をひいたらビタミンCをたくさんとろうといわれるが、B群やEも大事。食事が貧しければ当然これらのビタミン類は不足するし、アルコールやたばこでも体内のビタミンCはどんどん目減りする。
風邪はたいていの人が経験する一般的な病気だが、体のバランスの崩れを知らせているようなものだ。こんなときは他の病気にも狙われやすい。風邪が万病のもとになる由縁(ゆえん)はここにある