『第226話』 骨粗しょう症にビタミンK有効
老化に伴って起こる骨粗鬆(しょう)症はカルシウムとリンの量が少なくなって骨がもろくなる病気だ。特に男性よりも女性で問題になる。これは相対的に女性の方が骨量が少ないということもあるが、閉経によって骨からのカルシウムの流出防止や骨の強化形成に重要な働きをしている卵胞ホルモンの分泌が停止するからだ。
骨粗鬆症を予防するには、カルシウムを十分に摂取する。適度な日光浴によって体内でビタミンDを合成させる。適度な運動によってカルシウムの吸収と骨への沈着を促進させることが必要だ。
骨粗鬆症の治療薬は活性ビタミンD3、イプリフラボン、ホルモン剤などが使われる。
昨年8月に新たにビタミンK2剤(メナテトレノン)がこれに加わった。この薬は脂溶性物質なので高脂肪食の摂取で吸収がよくなる。逆に絶食下ではほとんど吸収されなくなるので必ず食後に服用する。
この薬を服用するときに最も注意しなければならないのが、ワルファリンカリウムとの相互作用だ。
ワルファリンカリウムは心筋梗塞(こうそく)症、脳塞栓(そくせん)症などの血栓塞栓症の予防や治療に使われる。この薬を服用中に低プロトロンビン血症になることがあり、止血目的でこの時にビタミンK剤が使われる。この場合は医師の管理下で薬が使われるので問題はないが違う診療科でこの両者の薬が別々に処方される場合ではかかりつけの薬局で確認してもらうなどの注意が必要だ。併用が起こった場合はビタミンK2剤を中止し、ワルファリンカリウムの投与を優先するのが基本だ。
ビタミンKは止血作用を持つので、血栓症を引き起こすのではないかと思われがちだが、ビタミンKは凝固因子を増やすだけで、この凝固因子は血管壁の損傷部位に露呈した組織因子がないと血栓を作らないので心配ない