『第236話』 しゃっくり百態、2日続くと注意

しゃっくりは、だれもが何度となく経験したことがあるだろう。

きっかけは単純で、冷たいものや熱いものを急いで食べたときや、急に冷たいプールに入った際などに起きる。小児では、精神的興奮やストレスの表現としてのものもある。

約10秒間隔で横隔膜がけいれんし、吸い込んだ息が勢いよく声門を開けて通り、直後に閉じるため、独特の吃音(きつおん)が出る現象がしゃっくり。

横隔膜だけでなく、吸気肋間(ろっかん)筋も同時に収縮し、連動しながら声門を開閉。迷走神経や横隔神経、頚髄(けいずい)神経のほか、高位の中枢神経も関与していると考えられ、そのメカニズムは複雑だ。

一過性のしゃっくりは、驚かすなどの自己治療で十分。しかし、2日間以上持続するような場合、アルコール中毒や心疾患、尿毒症、脳腫瘍(しゅよう)、腹腔(ふっくう)内の炎症、横隔膜ヘルニアなどが原因の恐れもあるので注意が必要だ。

また、薬の副作用で起こることもある。アデノシン3リン酸2ナトリウムをはじめ10種類の医療用薬には、副作用の欄にしゃっくりが載っている。

逆に、しゃっくりを止める薬もある。トランスバイオキソカンファーやクロルプロマジン、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が挙げられる。また、外科的に鼻から入れたカテーテルで咽頭(いんとう)部を刺激する咽頭刺激法という方法もある。これは、咽頭神経叢(そう)を強く刺激して、迷走神経の刺激をブロックするものだ。この方法で、麻酔をかけた患者のしゃっくりが止まった例もあるという。

ギネスブックによると、65年間もしゃっくりをし続けている人もいるらしい