『第237話』 漢方にも副作用、長期連用は注意

今月1日、小柴胡湯(ショウサイコトウ)による間質性肺炎の副作用が報道されてから、漢方薬の相談が増えた。

漢方薬は一般に作用が緩く、副作用がないという神話が定着しているので、それを否定することから話を始める。

小柴胡湯にはサイコ、ハンゲ、オウゴン、タイソウ、ニンジン、カンゾウ、ショウキョウの7種類の生薬が配合されている。ろっ骨の一番辺りに充満感があって苦しい胸脇苦満(きょうきょうくまん)がある急性熱症に適するとして、江戸時代から使われている。

医療用薬では、C型肝炎などの肝機能障害に多く処方される。大衆薬としても、風邪の後期症状に使われるが、連用することがないためか、大衆薬による副作用の報告は今のところない。しかし、何らかの理由で長期に連用している場合は医師に診てもらうべきだ。

間質性肺炎は、肺胞壁や末しょう支持組織の間質が炎症を起こす疾病。薬剤性の間質性肺炎は、毒性反応によるものと、アレルギー性反応によるものに大別される。従って副作用は、小柴胡湯だけではなく、免疫抑制剤や抗生物質など多くの薬剤で報告されている。臨床症状は発熱、息切れ、呼吸困難で、先行して発疹が見られることもある。胸部エックス線写真を撮ると両肺野にスリガラスのような陰影が見え、肺聴診では吸気の後半にマジックテープをはがす際のパチパチと弾けるような音が聞こえる。

治療は、薬剤の投与中止が第一で、容易に快方しない場合は副腎皮質ホルモンを投与する。

サイコとオウゴンの相互作用によるアレルギー反応ともいわれているが、詳しいことは分かっていない。

処方中にサイコを含む漢方薬を柴胡剤と呼び、医薬用薬だけで24種類ある。小柴胡湯と似通った処方の漢方薬では柴朴湯(サイボクトウ)、柴苓湯(サイレイトウ)、柴陥湯(サイカントウ)、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)があり、これらにも十分な注意が必要だ