『第240話』 傷の種類に合う消毒剤を使おう

屋外で活動する機会が増えてきた。擦り傷や切り傷に備えて、消毒剤を準備しておこう。

消毒剤の中で一般的なものはオキシドールだ。オキシドールは3%の過酸化水素溶液で、傷口につけるとブクブクと泡が出てくる。これは血液中のカタラーゼという酵素が触媒となって過酸化水素が分解し、水と酸素ができるためだ。この酸素が泡になって殺菌作用を表す。

細菌の多くはこうした化学反応で生じる酸素に弱く、破傷風菌のように酸素があっては生きられない菌もある。ただし、裸足で古クギなどを踏み、皮膚の奥深くに菌が入り込んでしまうような時は要注意。病院で破傷風予防の処置が必要になることもある。

比較的殺菌力が強く、無色透明な消毒剤に塩化ベンザルコニウムがある。逆性せっけんとも呼ばれ、液体になっている。普通のせっけんと一緒に用いると化学変化を起こし殺菌力が低下する。

色のついた消毒剤もある。黄色い色をしたアクリノールは刺激がほとんどなく、口の中の傷にも使用できる。ただし皮膚や衣類に色がつくと落ちにくい。最初からガーゼに染み込ませたものも市販されている。

ほかにヨードチンキやマーキュロクロムも色がついている。この二つは一緒に使うと効果が落ちるばかりでなく、ヨウ化水銀が生じて、かぶれることがあるので絶対に併用してはいけない。

ヨードチンキは殺菌力が強いが刺激も強く、組織を破壊してしまう。傷が深いときや皮がむけたりしているときは使用しない。このようなときにはマーキュロクロムの方が良い。マーキュロクロムは患部を乾燥させるので傷の治りが早い。

しかし外科医の治療を必要とするような大きな傷や深い傷の場合は、無色透明の消毒剤で応急手当てをする。色のついた消毒剤では傷口の状態が見にくくなるからだ