『第247話』 学校の衛生管理、薬剤師も陰の力
新学期が始まると、健康診断や歯の検査などで、学校医や学校歯科医は忙しくなる。薬剤師も、児童や生徒と直接的な接触が少ないためかあまり知られていないが、学校で重要な役割を担っている。
学校薬剤師は、教室の明るさや教室内外の騒音、換気、飲料水の衛生管理、机やいすの高さなど学校の環境面について助言する。夏になれば、プールの残留塩素の測定をして、消毒が効果的に行われているかどうかチェックする。ほかに、保健室の医薬品や学校で使用する毒物・劇薬の取り扱いにも必要な指導・助言を行っている。
学校に学校薬剤師を置く考え方は大正時代からあったが、法制化されたのは昭和33年のこと。学校保健法に「換気、採光、照明及び保温を適切に行い、清潔を保つなど環境衛生の維持に努め、必要に応じてその改善を図らなければならない」と規定され、担当する内容が明確になった。現在は、大学以外の学校と幼稚園に、学校薬剤師を置くことが義務付けられている。
その後、制度上の整備や環境管理項目の追加が行われ、平成4年には学校環境衛生基準が大幅に改正された。
15、16日、全国学校薬剤師講習会が秋田市で開かれる。学校薬剤師のほとんどは学校医や学校歯科医と同様、学校以外での仕事が中心になっている。だからこそ、常に学校教育についての理解を深め、学校の環境衛生管理に必要な知識と技術を習得しなければならない。
実験に使う毒物・劇物の廃棄方法、砂場の犬猫による寄生虫汚染、簡易専用水道の管理不備による細菌汚染など、学校内には管理しなくてはならない場所・施設も多い。プールの消毒ろ過循環装置などの機械・器具の管理には工学的知識も必要になってくる。
今は、分析機器が発達し、合理的な検査方法も考案されていて、学校内の環境衛生を維持するための新しい検査・管理方法の研究も進んでいる