『第248話』 誤飲急性中毒、たばこが最多
家庭内での誤飲急性中毒の中で一番多いのが、たばこによるものだ。
大阪市と茨城県つくば市にある財団法人日本中毒情報センターには年間6,000件を超えるたばこ誤飲事故の問い合わせがあり、緊急照会電話の18%を占める。
財団は設立から今年で10年を迎える。その記念事業として、5月1日から大阪市の事務局に無料の「タバコ応答専用電話」(電話06・875・5199)を設置した。
対応はエンドレステープになっていて、すぐに病院に行く必要がある3つのケースについて情報提供している。それは①たばこが浸って茶色になった水を飲んだ②幼児が葉の部分を2センチ以上飲み込んだ③何らかの症状が出ている-場合だ。
灰皿に水を入れておいたり、ジュースの中身が少し残った空き缶を灰皿代わりに使ったりすると、有害成分のニコチンが水やジュースに溶け出して、吸収されやすい状態になる。タバコの葉を1時間浸しておくと約60%のニコチンが溶け出す。たばこ1本には、16~24ミリグラムのニコチンが含まれている。ニコチンの致死量は成人で30~60ミリグラム、小児では10ミリグラム程度で、たばこ1本に含まれるニコチン量は小児の致死量を超える。また、2センチ以上飲み込むと中毒症状が出ることがある。
受診した際は、どんな状態で、どのくらいの量を飲み込んだのかを医師に告げることが大切だ。
口腔(こうくう)内をかいでもニコチン臭がせず、誤飲したかどうか分からないときは、30分程度様子を見る。2時間以上たっても症状が出なければ心配ないが、吐いたり、顔色が悪いといった普段と違う様子が見られれば、すぐに受診する必要がある。
財団は、こうした3つのケース以外の誤飲急性中毒の問い合わせを「ダイヤルQ2」で毎日24時間受け付けている。本県では平成8年度中に利用できるようになる見込みだ。それまでは当会の医薬品情報センターへ問い合わせてほしい(午前9時~午後5時)