『第249話』 快適な睡眠にニュース、断食

布団に入っても、あれやこれや考えて、すっきりした眠りが得られない人たちに「ニュース断食」を勧めたい。

快適な眠りを得るには、カフェイン飲料をやめたり、寝る前にぬるいおふろに入るなどさまざまな方法がある。しかしどうにも心が騒いで眠れないとか、心配の種が頭から離れず、眠った気がしないという人も多い。

このような原因の一端が時事ニュースにあるという。特に、殺人や暴力、いじめ問題など、怒りや不安が込み上げ、やり切れない気持ちになるニュースが、これらの原因をつくる場合が圧倒的に多い。

メディアが発達し、選択の余地なく次々とニュースが入ってくる。これを一定期間拒否する「ニュース断食」は質の良い睡眠をもたらすといわれ、不眠の治療プログラムに取り入れる医師もいる。

精神的ショックが大き過ぎて、どうしても眠れないときは薬に頼らなければならない。しかし、鎮静剤や睡眠剤は確かに睡眠をもたらすが、眠りの質から見ると問題もある。

われわれが夢を見るのは「レム(急速眼球運動)睡眠」と呼ばれるときだ。このとき目は速いスピードでキョロキョロ動いているので、この名がある。夢の74%はレム睡眠時に見ている。

夢は心身の健康に必要なもので、夢を見ない睡眠は質の良い眠りとはいえない。睡眠剤の中には、レム睡眠の時間を縮めてしまったり、夢に性的または攻撃的内容を増加させるものもある。薬を飲むと怖い夢を見ると訴える人もいる。

レム睡眠が減ると、不安が増したり、過食傾向が表れるほか、集中力や学習力が低下し、性欲が過度になるという研究結果もある。いずれにしても睡眠剤の使用は一時しのぎと考えたほうがよい。

鮮明に思い出される夢はレム睡眠の間に見たものだ。気分そう快になる夢を見たり、心地よい眠りが得られるかどうか、皆さんも一度「ニュース断食」を試してみてはいかがだろうか