『第256話』 ビタミンEが冷え性に効果
暑さから逃れようとクーラーを使うこの時期、女性は冷え性に悩まされる。
体温を生み出す体の組織は主に肝臓と筋肉。血液でこの熱を全身に伝える。肝臓は絶え間ない代謝を行って熱を発生させ、筋肉は寒い時にブルブル震えて体温を維持しようとする。従って筋肉の多い人は寒さに強いことになる。
女性は男性に比べて筋肉が少なく、しかも骨盤の中に子宮や卵巣を持っている。これらに血液を灌流(かんりゅう)させるため、血流に多くのバイパスやプール(たまり)ができるうっ血を起こしやすい。そのために腰から冷える人も多い。
特定の臓器に異常がない冷え性には有効な薬が少ない。
病気との因果関係もはっきりせず、ひどく苦しいというわけでもなく、腰の冷え、頭痛やめまい、肩凝りなど、訴えの種類や程度が変わるものを不定愁訴と呼んでいる。
冷え性も不定愁訴の一つで、特にこれといった治療法もないため、漢方薬や鍼灸(しんきゅう)、指圧に根強い人気がある。漢方薬では当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などが使われる。
豆類や麦類を多く食べている国では冷え性の人が少ないというデータがある。豆や麦にはビタミンEが豊富に含まれている。ビタミンEには末梢(しょう)血管の血流をよくする働きがあり、手足の指先が冷たくなる人に効果がある。
ビタミンEはもともと牛や馬の不妊予防に使われていたものだが、現在では若返りのビタミンとして注目されている。ビタミンEには心筋梗塞(こうそく)や動脈硬化症、脳卒中の人たちに共通して見られる過酸化脂質の増加を抑える働きがあるからだ。
冷え性の場合、ビタミンEを1日100~300ミリグラム服用する。
逆に冷え性を助長するものにたばこがある。ニコチン血管を収縮させて皮膚温を下げる。冷え性の予防には禁煙が必要だ