『第257話』 手荒い励行でO157感染予防
6月以来、病原性大腸菌O157で国内は騒然としている。本県では過去5年間に7人の腸管出血性大腸菌感染者が確認されているが、今年は幸い、免れている。
厚生省や文部省から入手したO157関連資料は500ページほどに上った。一つの疾病に関して、これほど多くの資料が送られてきたことはない。また二次感染防止に使う消毒関連医薬品も不足気味だ。
既に入手した資料のうち、大腸菌0157およびベロ毒素の概要、治療方法、二次感染予防のための日常の注意事項や処置方法は「ファックス一斉同報」で各薬局・薬店へ情報提供している。
当初の資料は、学校給食による食中毒としての取り扱いだった。元来、食中毒という言葉の使い方が不明確で、誤解を生みやすく、伝染病としての認識も薄い。しかし、食中毒も食品を介して伝染する感染症で、感染予防体制を整え、二次感染を防ぐことが必要だ。
伝染病に対しては、感染源および感染経路の特定、治療方法の確立、予防対策の策定が必要になる。
0157は大腸菌で、もともと牛や人などの動物の腸内にいることは分かっている。これが何らかの経路をたどり、直接口から摂取することで感染する。
また、ほかの食中毒原因菌の場合、感染が成立するためには菌数が10万~100万個必要なのに対し、0157では100個程度でも感染すると考えられている。このことが感染源や感染経路の特定を難しくしている。つまり検査を要する食材などが大量になるということだ。
二次感染予防の基本は手洗いの励行だ。排便後や食事前、あるいは下痢患者の世話をしたときには、せっけんと流水でよく手を洗う。タオルは共用しない。患者の糞便(ふんべん)などに触れた場合は、すぐに流水で手洗いし、逆性せっけんがアルコールで消毒する。
患者がふろを使用する場合は混浴を避け、使用後は乳幼児を入浴させない、ふろの水は毎日取り換えるなどの注意が必要だ