『第261話』 「痩せるお茶」に未承認薬が混入

寧紅(ねいこう)新減肥茶と寧紅新効減肥茶。商品名からすると今はやりの痩(や)せるお茶ということらしい。外箱にもダイエット・ティーと書かれている。宣伝文句には「体重制限をしている人に」とうたっているが「痩せます」とは書いていない。仮に「痩せることができます」と薬効が記されていれば、薬事法違反になってしまう。

このお茶から、日本では未承認の医薬品フェンフルラミンが検出された。県内でも3、4社が取り扱っていて、全品が回収となった。外箱にはフェンフルラミンが入っていることは表記されていない。

フェンフルラミンには幻覚作用はないが構造学的には覚せい剤アンフェタミンと似た形をしている。米国では中枢性セロトニン作動性食欲抑制剤として向精神薬に指定されている。副作用として、不眠、抑鬱(うつ)を起こす。長期に使用した例では肺高血圧症による死亡例が報告されているので、高血圧や不整脈のある人が服用するのは危険だ。また緑内障も悪化させる。

このお茶は、特に痩せ願望の強い若年層の女性が多用することが考えられ、催奇性や授乳を通じて乳児への影響が心配される。フェンフルラミンは胎児に対する毒性があることが指摘されているので、妊婦は服用してはいけない。

今回、未承認医薬品の混入が発覚したのは、ティーバッグの中に肉眼で確認できる白い小さな粒が見つかったことによる。これを一つひとつより分け、赤外吸収スペクトル法で分析してフェンフルラミンを確認している。

漢方薬の国から輸入されたお茶。食欲抑制薬を意図的に混入して販売していたことは、お茶だけでは痩せないことを証明する形になった。

厚生省薬務局監視指導課からの連絡によれば、ほかのお茶にもフェンフルラミンを含有するものがあるという情報もあり、手元にこうしたお茶があれば確認することが必要だ。白い小さな粒がある場合には、当会の医薬品試験検査センターでも分析できるので問い合わせてほしい。