『第277話』 風邪の発熱対策、状況にあわせて

この冬は風邪が猛威を振るっている。「病は口から入り、禍は口から出る」の言葉どおり、空中にまき散らされた風邪のウイルスは次々と人の口から侵入して感染する。

風邪の予防には、気道に付着したウイルスや細菌を殺菌するうがい薬でこまめにうがいすることだ。外出から帰ったとき、人込みの中にいたようなときも、うがいの効果は大きい。

体内にウイルスが侵入すると、体は体温を上げてそのウイルスを殺そうとする。そのため熱っぽくなったり、体がだるくなったりする。これらは体の防衛反応だと考え、安易に解熱剤を使わない方がよい。頭部を冷やし、水分を十分に取り、体を温めて早めに休むようにしたい。

微熱とはいえ、体力がなくてつらいときや、熱が38度を超えるようなときは解熱剤を使う。一般に解熱剤を服用すると胃の痛みや吐き気が起こりやすい。その点、座薬は胃を通過しないので、これらの副作用は出ない。しかし、子供では体温が下がり過ぎることがある。効き目が弱いからといって短時間に使い過ぎないように注意したい。

また、少量で痛みや熱を抑えるアスピリンは多くの大衆薬に入っているが、インフルエンザにかかっている子供に飲ませると突然、激しいおう吐、意識障害、けいれんなどを起こすライ症候群と呼ばれる症状が起きることがある。子供が熱を出したときは大人の量を適当に減らして飲ませたりはせず、薬局で薬剤師に相談するか、医師から処方してもらった薬を服用させてほしい。

抗生物質を風邪の万能薬と考えている人も多いようだ。抗生物質といえども風邪のウイルスには効果はない。ただし抵抗力の落ちた体にほかの細菌が感染するのを防ぐ目的で処方される。抗生物質は医師の処方なしには服用できない。必要なときに、十分な量を十分な期間使用することで、その本領を発揮する。