『第279話』 医薬品かどうか、しっかり確認を

「薬ってなんですか」と聞かれると返答に詰まる。「食品も薬のうち」という感覚が一般にあるからだ。

法律的には「薬事法第二条に規定されているもの」ということになる。この法律で、医薬品は①日本薬局方に収められている物②人又(また)は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械でないもの③人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの-のいずれかを満たすものと規定している。

日本薬局方(JP)は日本の医薬品の品質・純度・規格の基準を定めた法令で、薬物のバイブル的存在となっている。

各国にも同様の法令がある。米国にはUSP、英国にはBP、統合されるヨーロッパ連合用としてEP、国際的に使われるIPなどだ。

日本で薬局方が制定されたのは明治19年。今年で111年になる。

JPには、使用経験が豊富な1,292種類の医薬品が収録されている。これらの品名のほか、医薬品の基本的な試験方法、製剤に関する規格、保存方法などが規定されている。製薬会社が新しい薬をつくる際には、この指針に沿って医薬品製造承認申請書を作成する。

現在、日本には約14,000種類の医薬品がある。大半はJPに収録されていない。これらは各製薬会社が行った医薬品製造承認申請に対して、厚生省が個々に認可したものだ。

この審査は厳しく、それをパスしたものだけが医薬品と呼ばれ、その効能効果を掲げることができる。いかがわしい効能効果の宣伝に踊らされることなく、医薬品であるかどうかを確認することが必要だ。