『第283話』 絆創膏張る前に、傷口よく洗って

切り傷や擦り傷、靴ずれなど、ちょっとしたけがの時、お世話になる救急絆創膏(ばんそうこう)にはさまざまな種類がある。

傷は乾燥させたほうが治りが早いので通気性をよくしたものが多い。また、水仕事やスポーツする人を想定した完全防水型もある。傷の保護を目的にテープを厚くしたものや絆創膏にアクリノール、塩化ベンザルコニウムなどの殺菌消毒剤を染み込ませたガーゼが付いているものもある。

消毒剤が付いているからといって汚れた傷口にすぐに張るのは危険だ。細菌をそこに閉じ込め、増殖の手助けをしてしまうようなものだ。

傷口はまず流水でよく洗う。浅い傷ならそれだけで治る。転んで傷口に泥や砂が入ったり、何か異物が入ったりしている恐れがある場合は清潔な歯ブラシなどを使って傷の中を洗い流すのが理想的。少々痛いが、こうした後に消毒液を付けて救急絆創膏を張れば、たいていの傷は大事には至らない。

皮膚表面より奥の「真皮」という部分まで傷が及んでいる時は簡単にはふさがらない。こういう場合は病院で縫ってもらったほうがいい。また、くぎなど、とがったものを刺して消毒液が届かないような傷も病院で手当てしてもらったほうがよい。

第三者に傷の手当てをしてもらう時には、その人の手や指もアルコールなどできれいにしておく必要がある。

消毒薬といえば赤チンやヨーチンを思い出す人も多いだろうが、最近はもっと安全な消毒薬が数多く出ている。

赤チンはマーキュロクロムという医薬品を精製し、水に溶かしたもので水銀が含まれている。ヨーチンはヨードをアルコールに溶かしたものだが、刺激が強く、使い方によって化学的なやけどを起こしてしまうこともあるので、最近は使われなくなっている。

救急絆創膏や消毒薬は使い方が簡単ではあるものの、傷の状態によって選択の範囲が広いので、気軽に薬剤師に相談してほしい。