『第310話』 胃腸からの口臭、内服薬が効果的
歯が痛み出すのは夜であることが多い。
その理由の1つに、夕方から夜にかけて副腎皮質ホルモンの分泌量が低下することが指摘されている。副腎皮質ホルモンには抗炎症作用があり、分泌量の低下に伴って炎症が悪化しやすくなるからだ。
歯の痛みには、アスピリンやイブプロフェンなど、解熱鎮痛薬と呼ばれるもので対処できるが、歯痛用の市販薬にはさらに数種の成分が加えられている。
たとえば、夜に痛み出しても睡眠できるように、もともとは鎮静剤や睡眠剤として使用されるブロムワレリル尿素を含有したものがある。
麻酔作用のある塩酸ジブカイン、アミノ安息香酸エチルなどを加えたものは綿球などに浸して患部に詰め込むか、塗布して使用する。飲み薬との併用で痛みは止まるが、虫歯そのものは薬で治療できない。
毎日の歯磨きを怠ると歯垢(しこう)や歯石が歯や歯茎にたまり、細菌の繁殖地になりやすい。こうなると、いわゆる歯周病と呼ばれる歯茎のはれ、出血、口臭、口のねばねば感などが生じる。これを放置すれば、歯と歯茎の間にポケットができ、うみも出るようになり、やがて歯が抜けてしまう。
歯茎のはれには消炎酵素剤の塩化リゾチームを含んだ軟膏(なんこう)がよい。市販薬にはこれに止血作用のあるビタミンK、粘膜を強化するビタミンCやEなどが組み合わされているものが多い。
口臭は口の中に原因がある場合以外に、胃腸の病気や糖尿病で生じることもある。胃腸から上がってくる臭いにおいには、銅クロロフィリンナトリウムやクマザサのエキスなどの内服薬が効果的だ。
一般に殺菌剤を含むうがい薬は口臭予防になる。医薬品以外にも、歯磨き前や後に口をゆすぐ洗口液が各種売られている。