『第315話』 気化熱を利用し、ねん挫部位冷却
10月はスポーツに絶好の季節だ。スポーツにはそれぞれ適したシューズがある。
特にエアロビクスは肥満予防も兼ねて中高年に人気があるが、ジョギングシューズやテニスシューズで代用せず、専用のシューズを履くべきだと指摘されている。
ジョギングシューズはかかとを保護するが、親指は保護できない。また、テニスシューズは滑り止めがあるのでねん挫しやすいというのがその理由だ。
エアロビクス用シューズは頻繁に行うジャンプによる、ひざとかかとへの衝撃をよく吸収し、また疲労が蓄積されないよう底が曲がりやすくなっている。
大腿(だいたい)骨とその下のけい骨をつなぐひざの関節には靱帯(じんたい)、半月板、軟骨があって、ひざの関節にかかる衝撃を吸収する役割を果たしている。スポーツ選手に障害が多く発生するのもこの部分で、変形や疲労、老化による炎症を生じやすい。
明らかに炎症があり、熱感がある場合やはれているというときは冷やす。ただ単に血行が悪くて古傷が痛む、後遺症の痛みを感じる場合は温めるのが基本だ。
ねん挫は関節部分が外からの力で損傷を受けることを言うが、スポーツ医学ではR・I・C・E療法が推奨されている。安静、冷却、圧迫、固定、高挙(患部を高く挙げる)の略語だが、これに近いことができる冷却用具が薬局で購入できる。
これはウレタンベルトに水性ゲルを染み込ませたものだ。水に浸してゼリー状にすると水の気化熱で約10度になり、患部に巻いて、急速に冷やすことができる。巻くことで適度に圧迫、固定ができ、30分後でも15度程度の適度な温度に冷やすことができる。スポーツ時に用意しておけば、万が一の時、よい状態で治療を受けられる。