『第320話』 薬の飲み合わせ、服用時に確認を
ゲット・ジ・アンサーズ(5)
その5は「ほかの薬や食べ物との飲み合わせは?」という質問だ。
3年ほど前、皮膚病の帯状疱疹(ほうしん)を治療する抗ウイルス剤と抗がん剤を一緒に服用した患者さんが16人も死亡した。原因は薬の「飲み合わせ」によるものだった。この2種類の薬を同時に服用すると、抗ウイルス剤が抗がん剤の副作用を強めてしまうという作用があったためだ。この事故などがきっかけとなり、2つ以上の薬を使用した場合の「飲み合わせ」、つまり薬と薬の相互作用、言い換えれば多剤を併用したときに起こる副作用という問題が注目されるようになった。
一般に薬は何種類かが組み合わされて処方されるので、医師や薬剤師は薬の「飲み合わせ」に常に注意を払っている。しかし、2カ所以上の医療機関にかかっていて、それぞれから薬をもらったときや病院でもらった薬と薬局で買った風邪薬などを一緒に飲むようなとき、飲み合わせ、食べ合わせを確認しておくことが必要だ。
風邪薬として使っているアスピリンは血糖降下剤の作用を強める作用がある。これを知らなければ、家族が買っておいたアスピリンを糖尿病の人が服用し、低血糖に陥り、目まいを引き起こして転倒、骨折という事故にもつながりかねない。
「飲み合わせ」は、薬同士の飲み合わせばかりではない。薬と食べ物や飲み物との飲み合わせによって思いがけない薬の効き目の変化が生じることもある。例えば、ある種の抗血栓薬は、納豆菌が生成するビタミンKによって効果が弱められてしまう。また血圧を下げるカルシウム拮抗(きっこう)剤の中に、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと作用が強くなる薬があることも最近分かってきた。
高齢化時代を迎え、さまざまな診療科から薬をもらうことが多くなり、ほかの薬や食べ物との飲み合わせを確認しておくことがますます重要になっている。
<ゲット・ジ・アンサーズは完>