『第317話』 自分の薬理解し、安全に有効使用
ゲット・ジ・アンサーズ(2)
今週は「薬と健康の週間」に当たります。18日から2日間、男鹿市では「健康展」が開催されている。
「健康展」では県薬剤師会の仲間が薬草や薬が体の中でどのような働きをするのかなどをパネルを使って解説。また、「薬の相談コーナー」を設けて質問に答えるなど、ゲット・ジ・アンサーズを実践している。
さて、前回のゲット・ジ・アンサーズ(1)は「薬の名前は何ですか?」でした。今回はその2、「その薬の効き目や働きは?」といった疑問を日々抱くことの大切さを述べてみよう。
病名は分かるが飲んでいる薬がどんな効き目や働きがあるのか知らない人は多い。病気の治療に使っている薬なので、大まかに血圧を下げる薬だとか、痛みを止める効果があるというところまでは理解できていると思う。しかし、その薬の効き目や働きを誤解して、「これは飲まなくていい」などと自己判断で薬を服用しない人がいる。中には誤解によって、服用しなくなったために取り返しのつかない事態を招くこともある。
狭心症の発作を予防する薬で、飲み薬ではなく「貼(は)り薬」の形をとっているものがある。皮膚に貼っておくと、有効成分が皮膚を通して吸収され、心臓の血管に働いて、血液の通り具合を改善する。しかし、この薬を肩こりや腰の痛みなどに使う鎮痛剤の貼り薬と同じだと誤解し、狭心症の自覚症状に胸の痛みがあるため、単なる鎮痛剤として使っていた人がいた。これは笑い事では済まされない。命にかかわる大変な誤解の例だ。痛みがないからといって、貼るのをやめれば、狭心症の発作を引き起こしかねない。
血圧を下げる薬では血圧を下げるという効果でも、利尿系、カルシウム拮抗(きっこう)剤、ACE阻害剤といった具合に体の中で作用する仕組みや作用する部分が異なり、それぞれに特徴のある効果を示す血圧降下剤がある。自分自身で使っている薬がどのような仕組みで効いているかを知ることは、病気のメカニズムや日常注意すべき点を学んでいくことにもなる。
自分の使っている薬について、その名前、効き目や働きをしっかり理解しておくこと、それは薬を有効に、また安全に使用するための第一歩だ。