『第321話』 目薬さすときは手洗いしてから

目薬の使用方法は実に簡単だが、中身は注射薬と同じくらい厳しい基準で作られている。注射液は体の内部に直接入り込むから、異物の混入はおろか、細菌に汚染されることなどは絶対にあってはならない。

目は体の内部に最も近く、やはり細菌に汚染したものは使用すべきではない。そのためには目薬を使用する前に手をせっけんでよく洗い、それから容器に触ることだ。容器の先は目やまつげに触れないようにする。

たとえこのように注意を払っても、万が一、細菌に汚染されている可能性も念頭に置き、目薬は1カ月以内で使い切るようにしたい。

使用量は1滴でよく、さしたら瞬きをせず、1~2分間閉じたままにしておく。瞬きをすると薬は目に留まらず、鼻や口の中に流れてしまう。こうなると薬は鼻の粘膜などから吸収されて、全身に作用することがある。

緑内障に使用される目薬は、高くなった眼圧で視神経が委縮しないよう眼圧を低下させる薬だ。しかし、これらが全身的に作用すると、気管支ぜん息の発作を誘発したり、徐脈やめまいを引き起こしたりする。このような副作用を防止するには、薬が鼻の中に流れてしまわないよう、目薬をさした後、涙嚢(るいのう)部(涙が出る袋の部分)を軽く押さえるとよい。

2種類以上の目薬をさすときは、間隔を5分以上あける。また、最初にさした薬が、次の薬に追い出されてしまう可能性を考えて、主効果のあるものを後にさすようにする。

目を休めるには睡眠が一番。眠っているとき、目の血管は拡張して栄養補給が行われている。充血時やアレルギーのときに使用する目薬は血管を収縮させる成分を含んでいるので、寝る前の使用は避けるのがよい。