『第322話』 風邪薬服用の際、説明書の熟読を

「インフルエンザにかかっても治す薬はないよ」と言うと、「でも病院に行くと、ちゃんと薬をくれるよ」などと返される。

インフルエンザウイルスをはじめ、風邪の多くはウイルスが原因だ。

実際、一部のウイルスを除いてはウイルスに有効な薬はなく、ウイルスに感染したら自分自身の免疫力が頼りとなる。病院でくれるのは、熱、咳(せき)、痰(たん)、頭痛といった風邪に対して起こる諸症状を緩和するための薬だ。

「風邪を引いたとき、薬を飲めば1週間かかる」という格言が外国にある。薬を飲んでも飲まなくても、風邪が治るには一定の時間が掛かることを先人は言いたかったのだろう。

風邪の諸症状の緩和に大衆薬を服用する人も多いが、使用説明書は必ず目を通してほしい。特に「次の人は医師、薬剤師に相談すること」と書かれているところはよく読み、意味が分からないようなときは問い合わせてもらいたい。

副作用情報に注意してほしいものに、アスピリンやアスピリンアルミニウム、イブプロフェンなどの解熱鎮痛剤と呼ばれる成分がある。アレルギー体質の人はこれらの成分でも喘息(ぜんそく)のような症状を起こすことがあるからだ。

また、アスピリンは15歳以下の子供がインフルエンザ、水痘などのウイルス性疾患にかかっているときは絶対に使用してはいけない。

咳を止めるものでも、マオウやその主成分のメチルエフェドリンを含んでいる薬は心臓に障害のある人や高齢者の場合は注意が必要だ。