『第323話』 効能表示できる、特定保健用食品

成人病のことを生活習慣病と呼ぶようになった。成人病になる原因の一端がその人の生活習慣に見いだされるからだ。

なかでも食習慣のゆがみは肥満、糖尿病、高血圧、痛風、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、高脂血症など成人病と呼ばれるもののほとんどの成因とされている。

栄養素は食事から取ることが基本だが、毎日過不足なく取ることは現実的には難しい。どんなに心掛けても鉄やカルシウムは不足がちになるし、ある程度の食物量を取らなければ必要量に達しない栄養素もある。

そこで、普段の食事と併用して健康増進に役立てられるような加工食品が開発されている。

これは特定保健用食品と呼ばれるもので、既に市販されているものに、オリゴ糖や食物繊維を含んだ食品がある。

オリゴ糖はタマネギ、アスパラガス、ゴボウ、母乳などにも含まれていて、腸内細菌のビフィズス菌を増やす働きがある。食物繊維は便通をよくするほか、糖質や脂質の吸収を抑制するので糖尿病や高脂血症の予防に効果がある。

ほかにも血中のコレステロール上昇を抑える大豆タンパクやキトサンを含む食品、降圧効果が期待される杜仲葉の配糖体を含んだお茶などがある。

現在の制度では、食品には効能に関する表示を一切許していない。その中で、これら特定保健用食品だけはどのような人に適しているかを表示できる唯一例外的な食品だ。特定保健用食品は体によいということが科学的な根拠から認められているからだ。

しかし、これだけを食べたり飲んだりするだけで健康になるというものではない。あくまでも保健の効果が期待される食品として、成人病を懸念する人たちに上手に利用してほしい食品だ。