『第330話』 磨き方を工夫し、歯垢の原因除く
歯科医によると、いまどき歯磨きをしない人はいないだろうが、「ただ歯を磨いている」のと「歯がちゃんと磨けている」のとでは相当に違いがあるという。
歯磨き粉をたくさん付けて、一生懸命ブラッシングしても磨き残しがあれば、そこから虫歯が始まるというわけだ。
磨き残しはどうしてできるか。どう対処すればいいのだろうか。
①人にはそれぞれ磨き癖というものがあって、どんなに時間を掛けて磨いても虫歯の原因となる歯垢(しこう)を完全に取り除くことはできない。
②まず自分の歯のどの部分が汚れやすいのか、その汚れを取るにはどうするかということを意識しながら、1本1本の歯を丁寧に磨く。
③磨き残しがどこにあるのかを点検するには、歯垢だけを染め出す製品がある。フロキシンと呼ばれる食用赤色104号を含有したもので、直接歯に塗るタイプや錠剤をかんで調べるものもある。
歯垢は歯だけではなく、歯と歯の間、いわゆる歯間部というところにもたまっている。この部分からも容易に虫歯が起こる。この歯間部は30ミクロンと狭く、歯ブラシが入ることはできない。そこでデンタルフロスが活躍する。
これはナイロン素材の糸でできていて、両手の指に巻き付けて使用する。うまく使えない人のためにホルダータイプのものもある。1本の歯の側面に添わせるようにして糸を上下して歯垢を落とす。
歯磨き粉はたくさん付けることには意味がなく、むしろその弊害に注意が必要だ。ヤニ取り効果の高い歯磨き粉には粗い研磨剤が含まれているため、ヤニも取れるが歯の表面に傷が付いたり、エナメル質がすり減ることもある。普通の製品でも多く付けることは研磨剤を多く使用することと同じであり、それでごしごし磨くと歯肉を後退させる原因にもなる。
最近登場してきたハイドロキシアパタイトは歯と同様の固さの物質で、研磨剤としては歯に適している。