『第333話』 しっかりと朝食、脳にブドウ糖を

「朝は王者のごとく、昼は富者のごとく、夜はこじぎのごとく」とは食事の内容を示したヨーロッパの格言である。

米やパン、イモ類などの主成分であるデンプンは消化酵素によって分解され、最後にブドウ糖となって小腸から吸収される。吸収されて血液に溶け込んだブドウ糖は血糖と呼ばれ、肝臓や筋肉に運ばれてグリコーゲンというかたちで貯蔵される。

人間の脳が働くためのエネルギー源になるのは実はこのブドウ糖だけだ。脳は全体重の2%ほどしかないのに、体が消費するエネルギーのうちの約5分の1を消費している。

脳にはブドウ糖を貯蓄する機能はなく、体は肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンをせっせと分解してブドウ糖をつくり、血糖として脳に供給し続けなくてはならない。

食べた物をよく消化することは、栄養素を体に十分に、しかも早く行き渡らせることになる。こうした消化機能や、グリコーゲンをはじめとする体成分の分解能力が高まるのが日中である。

従って朝、昼の食事は十分に、カロリーのあるものを比較的多くとってもよく、夜には逆に胃にもたれないようにあっさりと食べることを先人たちは教えている。

普通、血糖値は早朝4時ごろに最低となり、朝の8時ごろ最高となる。朝食前でも血糖値が高くなるのは副腎皮質ホルモンが一時的に体内のタンパク質からブドウ糖をつくらせるからだ。これは起床後、脳や体がすぐ活動できるようにするためだ。しかし、朝食を抜いたり、デンプン質のない朝食では、体や脳はすぐにペースダウンする。

王者のような朝食とはいえ、食べ過ぎた分は間違いなく脂肪となって貯蔵されるので、ご注意を。