『第338話』 食事に気を配り、動脈硬化を予防

年齢を重ねるうちに、体内のビタミン不足、ホルモンの失調、血管の硬化などが老化現象として現れてくる。

特に血液中のコレステロールが増加して生じる動脈硬化症は血管の老化を示す兆候だが、今や年齢を問わず、1つの疾病として考えられている。

コレステロール値が1%下がると、虚血性疾患が2%予防できるといわれている。コレステロールが血管の内壁に沈着したり、血管壁が損傷したりすると内腔が狭まり、血液が流れなくなって(虚血)、各臓器に障害が起こる。例えば、心臓に栄養を供給している冠動脈に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞(こうそく)になる確率が上がる。

強力にコレステロールの合成を抑えて、血中コレステロール値を下げる薬にプラバスタチンやシンバスタチンがある。コレステロールは食物から摂取されるだけでなく、肝臓で合成されている。

動脈硬化症の薬は総コレステロールが220ミリグラム/dlあたりを境にして軽度のものから使用されはじめるが、全国でこの値に達している人が1,200万人以上いるといわれている。

プラバスタチンやシンバスタチンは今や年商1,000億円の売れ筋商品となっている。普通は市場規模が拡大すると厚生省は薬価を見直し、薬価の引き下げが行われる。このことはメーカーにとっては大いに収益に響くところである。

引き下げ実施は今のところ微妙な段階だが、やがてこれらの薬を使用せざるを得なくなる患者の予備軍が相当数いることが分かっており、さらなる出荷増が見込まれている。このため、引き下げ分はメーカーに影響を与えないというのが厚生省の見方だ。

コレステロールは薬に頼る前に、食事療法や運動療法によって下げるのが基本だ。太っていると、コレステロールの体内合成も盛んになるからだ。