『第336話』 湿布薬は症状で適切に使い分け

雪解けの季節を迎えて、さまざまな屋外スポーツを楽しめるようになった。しかし、スポーツを始める前に十分な準備運動を行わないと、湿布薬のお世話になることがある。

湿布は、痛みを和らげ、炎症を鎮めて患部の回復を早める効果がある。湿布する方法には患部を冷やす冷湿布と逆に温める温湿布があり、病気や症状によって適切に使い分けなければならない。また、薬の成分がまったく入っていないものもあるので、説明書に書かれた使い方や成分名を確認して使用することが必要だ。

冷湿布は、患部を冷やすと皮膚血管が収縮して血行が緩徐となって、腫(は)れて熱を持った状態の炎症を鎮めて、痛みを和らげる。

温湿布は、温めることによって、皮膚血管が拡張して血行を促進し、老廃物を速やかに排除して炎症や疼痛(とうつう)を和らげる。

打撲の場合は冷湿布と温湿布を使い分けることが必要で、外傷があれば傷の処置をしてから2、3日冷やし、その後は温湿布をする。

ねん挫であれば、腫れが引くまで冷湿布が必要だ。肩痛、肩凝り、関節リウマチ、神経痛には温湿布や入浴が有効だ。

腹痛の場合は温湿布が使われるが、虫垂炎などの炎症の疑いがあるときは禁物で、医師の診断を受けなければならない。骨折はどちらの湿布も厳禁だ。

湿布薬にかぶれやすい人は、炎症部にガーゼを当ててその上から張るとよい。発汗時には患部の汗をよくふき取ってから使う。

湿布薬の成分は揮発性の薬物が使われているので、保存するときは直射日光や高温の場所を避け、開封後は袋の取り口を折り曲げて外気に触れないように保存する。

痛みを取る一番の方法は、患部に愛情のこもった手を当ててもらうことかもしれないが、そのような手当てを受けないように、少しずつ身体を慣らしながら運動してもらいたい。