『第339話』 胃腸薬あれこれ、正しい飲み方を

薬局、薬店で販売されている薬の箱には必ず成分が明記されている。特に胃腸薬ではさまざまな成分名が羅列してあり、効能、効果についても食べ過ぎ、吐き気、もたれ、胃酸過多、胸焼けなど多くの不快な症状に効果があることが書かれている。

胃腸薬としてどのような成分を配合するかは製造(輸入)承認基準で細かく決められている。配合してはいけないもの同士や、どれを1日最大でどのくらい加えていいのかなど細かくきめられている。

制酸剤の場合、即効性の作用を持つ成分と持続効果のある成分を組み合わせている。例えば、即効性の沈降炭酸カルシウムが胃液を中和して胸焼けやげっぷを抑える。次にケイ酸アルミン酸マグネシウムが胃から分泌される塩酸に触れて、ゲル状のケイ酸を分離し、徐々に長く効いて荒れた粘膜を保護するといった具合である。

キャベツに含まれる成分もビタミンUと呼ばれ、胃粘膜の炎症を修復する。キャベツの名がそのまま商品名に生かされた胃腸薬もある。緑色の胃薬は銅クロロフィリンナトリウムという物質が主成分だ。これは葉緑素ともいわれ、口臭を消す作用もあるのでガムなどにも入っている。

終戦直後、日本に進駐していたアメリカ兵たちが日本の家屋に寝泊まりした際、こたつでのやけどが相次ぎ、やけどでできた潰瘍(かいよう)を治療するため、アメリカの軍医が葉緑素の粉末を使っていたという。これで皮膚の潰瘍が修復できるなら、胃粘膜の修復もできるはずだと考えた。

丸缶などに入った健胃消化薬の粉末は小さじ1杯を口の中に放り込んだら、だ液で練ってから飲み込むというのが正しい飲み方だ。その苦味と生薬の芳香に健胃作用があるからだ。その後に水を流し込んで服用する。