『第350話』 医薬品の組み合わせ販売

救急箱の中にどのような医薬品をそろえておけばよいか、という質問があった。

胃腸薬、下痢止め、風邪薬、鎮痛剤(頭痛・歯痛用)、眼科用薬、虫刺され薬、湿布薬、乗り物酔い止め、消毒薬、ガーゼ、包帯、脱脂綿、ばんそうこう、カット紙、体温計、ピンセント、刺(とげ)抜きなどをそろえておけばよい。

単に、胃腸薬といっても胃酸の分泌を止めるタイプのものや消化を助けるものといったようにさまざまある。風邪薬も同様に熱を下げるタイプや鼻水を止めるタイプなどがあるので使用頻度に合わせて備えておきたい。

医薬品は食品・雑貨類とは違い、いくつかの品物を組み合わせて販売することはほとんどない。例えば、ドリンク剤とビタミン剤、風邪薬と頭痛薬を一包みにして展示、販売することはない。それは、そのような一般用医薬品(大衆薬)を組み合わせる目的や意図が不明で、不必要な医薬品を抱き合わせたり、在庫処分を目的に販売することで薬物の乱用を助長したり、誤用による危害を起こしてはならないからである。また、それぞれの医薬品ごとに的確な情報を入手して使用する必要があり、医薬品の適正使用をゆがめる可能性もある。

しかし、消費者の利便性を考慮して、こうした組み合わせ医薬品が認められている例がある。家庭用常備薬セットや旅行用医薬品セットとして、救急箱の中にあるような薬や旅行中に必要になる薬を5種類程度組み合わせて販売する場合だ。

しかし、県内の薬局ではこのような形態で、一般用医薬品を販売しているところはほとんどないので、必要な医薬品を個々に薬剤師に相談しながらそろえるとよい。

医薬品の有効期限はほとんどが製造年月日から3年間で、定期的な点検が必要だ。新たに購入した場合は、救急箱に入れる前に有効年月日を記入し、説明書類はひとまとめにして保存、管理したい。