『第351話』 医薬分業制度への対応

当センターは医薬品に関する相談を受け付けているが、医薬分業制度や薬局に関する苦情を扱うことが増えてきた。

苦情で多いのが「処方せんに記載した医薬品がなく、いくつかの薬局を回ったが数軒目の薬局でやっと入手した」というものだ。

通常は、訪れた薬局で取り扱っていない医薬品がある場合、薬局側でその医薬品を持っている薬局を探し、後で入手して調剤している。しかし、緊急性を必要とする医薬品の場合は悠長なことはいっていられない。この場合は、処方医に連絡を取り、同効成分で取り扱っている医薬品に変更する処方変更してもよいか了解を得て調剤する場合もある。

夜間・休日の対応は店舗と住居が同じ薬局では、電話で連絡を敷くか、住居の玄関口で対応している。さらに、緊急用の電話番号を電話帳に掲載している薬局もある。

WHO(世界保健機構)では250成分あれば、すべての疾病が治療可能としているが、日本の医療用医薬品は約12,000品目、同じ成分でも商品名が違う医薬品が30種類以上ある医薬品もある。また、規格も5、10、15ミリグラムといったようにさまざま。さらに錠剤・カプセル剤・液剤・ドライシロップなど同一成分で剤形が異なる医薬品もあり、すべての医薬品を薬局でそろえることは不可能だ。

しかし、500品目以上の医薬品を備蓄する薬局も多くなってきた。薬局の外観は小さくても1000品目を超えているところもある。こうなると薬局側の負担も重く、医薬品の在庫を管理することが難しくなってくる。製造後3年間で有効期限が切れる高価な医薬品の費用を薬局が負担することになるからだ。

対策も取られていて、100錠単位で医薬品が供給されるようになってきている。また、秋田市薬剤師会では秋田市内の薬局がどのような医薬品を在庫しているか、瞬時に分かるようにコンピューターで管理している。

医薬分業制度には、こうしたデメリットを上回るメリットがある。制度を定着させるうえで、重要なのは夜間・休日・救急体制の整備、医薬品の適正管理と安定供給、患者さんに対する的確な情報提供と管理だと言われている。

今後も県民の要望にこたえることができるように改善に努めていきたい。