『第383話』 ベジタリアンの食事

「ベジタリアン」と聞くと、肉食は避け、野菜だけを食べる人というイメージがある。

この言葉は、ある人たちが主義として野菜(ベジタブル)だけを食べることからきていると思っている人も多いだろうが、実際のところはラテン語の「ペゲトゥス」という言葉に由来している。

意味は「健全な、生き生きした、活発な」などが当てはまり、ベジタリアンは「健康で生き生きした人」という意味になるだろう。

ベジタリアンといっても動物性食品を摂(と)らない厳格な人たちから、野菜のほかに乳製品や卵、魚類を摂るという人たちなど細かく分かれる。

いろいろな調査から、ベジタリアンの食事は生活習慣病の予防に適していることが分かっている。肉類を摂る人とベジタリアンの間で大きく異なるのが脂肪の種類の違いだ。肉類から摂る脂肪は動物性脂肪と呼ばれる飽和脂肪酸だ。これは脂が冷えたとき、白く固まるものだ。

逆に植物性脂肪は不飽和脂肪酸と呼ばれ、冷えても固まらないので区別がつく。ごま油とラードを比べてみるとよい。

体に良いのは当然固まらない脂の方だ。動脈硬化や虚血性心疾患を引き起こすコレステロールは動物性の食品にのみ含まれるので、飽和脂肪酸の摂り過ぎは血中のコレステロール値を高くする。動脈硬化は酸化されたLDLコレステロールというものによって引き起こされる。

血中のコレステロールを下げる食品に大豆製品がある。また、野菜に含まれるビタミンCやE、ベータカロチンなどはLDLコレステロールが活性酸素で酸化されるのを防ぐ。

もう一つ、ベジタリアンの食事とそうでない人の食事の大きな違いは食物繊維の量だ。野菜類から採れる食物繊維の多い食事は大腸がん発生の危険性を低くする。

バランスのとれた食事のほか、喫煙や飲酒、運動など食事以外の要素も考慮して日々を過ごすことは病気を予防していることにほかならない。

ベジタリアンに倣い、大いに野菜を食べ、さまざまな疾患を予防したいものだ。