『第403話』 不整脈の薬の選び方

健康な人でも深呼吸をしたとき、ドキンと大きな動悸(どうき)を感じたり、運動中や緊張したときなどに脈の速さやリズムが変わることがある。

脈拍の間隔がおかしい、脈が飛ぶように感じるなどの症状で受診する人の多くが「期外収縮」と呼ばれる不整脈と診断されることがある。

心臓は、収縮と拡張を規則正しく繰り返す拍動によって血液を全身に送り出すポンプの働きをしている。この拍動が不規則になることが不整脈だ。拍動が速くなると頻脈、遅くなれば徐脈といい、これらも不整脈の症状だ。

期外収縮は、心臓の拍動が本来の時間間隔よりも早く現れるもので、それが脈拍の異常と感じられるが、多くの場合積極的な治療は行われない。一口に不整脈といってもその種類は多く、放置してよいものからすぐに治療を開始しないと命にかかわるものまでさまざまだ。

不整脈が起きても、その症状が持続しないと心電図では不整脈を発見することはできない。そこで24時間携帯心電図(ホルター心電図)を付けてもらい、不整脈の有無を調べる。また、その原因を探るため、心臓超音波、トレッドミル運動負荷心電図をとったり、心臓カテーテルを行うこともある。

不整脈の薬は適応や用量を誤ると突然死を来したり、別の種類の不整脈を誘発することもあり、効果は多少弱くても副作用の少ないものから選択される。

また、心臓にかかわる症状だけに、動悸(どうき)などの自覚症状があると不安感でいっぱいになる人がいる。不整脈のことばかり考えていると、かえって不整脈が起こりやすくなる。このようなときには精神安定剤の方が不整脈の薬として効果的であることもある。

徐脈の人には脈を増やす薬剤を投与するが、限られたものしかなく、長期的に脈を増やすには薬剤ではなく、ペースメーカーが使用される。

期外収縮を含め、頻脈の場合にはジソピラミド、メキシレチン、ピルジカイニド、アプリンジンなどから選択されることが多い。

服用後は、胃部不快感や肝酵素の上昇が見られたり、口が乾く、口の中がじゃりじゃりする、尿が出にくくなるなどの好ましくない症状が現れることもある。

薬の効果を確かめ、最適の薬剤を選ぶために、各種の検査を繰り返すこともあり、医師と協力して治療に当たってもらいたい。