『第405話』 夏は水分補給を十分に
マラソンを見ていると、ほとんどの選手が頻繁に水分補給をしながら走っている。特に暑い日は、水分を失った体に速やかに水分補給をしないと命取りになる。体の水分の15%以上を失うと筋肉のけいれんや意識喪失、心不全を起こしやすくなるからだ。
激しい汗をかくスポーツ選手に限らず、暑いときには日常生活でも十分な水分をとるようにしたい。
普段きちんと食事をしていると意外に水分は保たれている。食物からは栄養だけでなく、水分も摂取できるからだ。
夏には食欲がでないことも多く、食事を抜いたりすると脱水症状を起こしやすくなる。食事のほか、最低でも400~500ミリリットルくらいの水分はとりたいところだ。
また、おなかを冷やしたり、食当たりなどで下痢を起こしやすい季節であり、おう吐や下痢を繰り返すのも水分を失う原因となる。
下痢がひどいときは絶食して腸を休めるのもよい方法だが、そうしている間も冷たくないスポーツドリンクなどで水分補給を忘れないようにしたい。
水分を多く含んでいるからといってミカンなどの柑橘(かんきつ)類やスイカなどを食べさせると胃腸を刺激して下痢を悪化させることがある。
寝たきりの老人や痴呆(ちほう)状態の人たちは自分からのどが渇いていることを訴えないことがあるので、脱水症状に陥らないように家族が気を配ってほしい。
高齢者の中には、味噌(みそ)汁などの液体でさえ飲み込むことが困難な人もいる。これは嚥下(えんげ)障害と呼ばれ、脳梗塞(こうそく)の後遺症などでも現れる。
水でもむせてしまうので、ゼリーやアイスクリーム、ヨーグルトなどの方が飲ませやすい。
水分の多い料理にはかたくり粉やコーンスターチでとろみをつけたり、牛乳や味噌汁、ジュースなどにもとろみがつけられる増粘剤が市販されているので利用したい。
暑い時期に多量の汗をかくと、血液が濃くなって固まりやすくなる。脳血栓などを誘発しないよう、十分に水分をとるよう心掛けたい。