『第426話』 ミノキシジルの安全性情報

 

厚生省は、医薬品の副作用の発生状態に関する情報を収集し、医薬品等安全性情報にまとめて、おおむね2カ月に1回公表している。

ミノキシジル1%を含有する液剤は、壮年性脱毛症における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防用に、平成11年6月から一般用医薬品(OTC薬)として薬局・薬店で販売を開始し、現在まで計400万本が販売されている。

新しい有効成分を含有したOTC薬は、発売後6年間にわたって使用した効果や副作用の発生状況を調査することが義務付けられている。この調査は、発売元の企業に義務付けられていて、薬局・薬店における消費者聞き取り調査、企業の消費者モニター調査などによって情報の収集が行われている。また、調査のルートはこれのみではなく、薬局・薬店から直接厚生省へ報告するルートがある。

この度、発表された情報は、市販後3カ月間にミノキシジルとの関連性がないものも含め500例が報告されているが、この中に本剤使用後に動悸(どうき)、胸痛を経験したとする報告が薬局などを通じて、企業に寄せられているという内容となっている。

外国では、因果関係は明らかではないが、心筋梗塞(こうそく)を発症した症例が4例報告されている。日本においても、やはり因果関係は明らかではないが、心筋梗塞と診断された症例が1例報告された。

ミノキシジルは、もともと加圧を下げる薬の副作用として発生した発毛を転じて開発されてきた経緯があり、循環器系に影響する可能性はある。しかし、日本において実施された臨床試験では動悸、胸痛などの症状は発現していなかった。米国における、20,000例の疫学調査によっても関連性はないとされている。

報告されている症例から読み取れることは、こうした副作用の発生が狭心症、高血圧などの循環器に既往のある人に多かったことだ。

そこで厚生省は、ミノキシジルの購入者には、必ず既往歴の確認を行い、注意を喚起するよう薬局・薬店に要請した。

薬局・薬店では単に情報提供するだけでなく、使用後の情報を厚生省に報告し、より安心して医薬品を使用できる取り組みを行っている。みなさんに一声掛けることがしばしばあると思いますが、その際はご協力お願い致します。