『第78話』 大衆薬といえど多剤併用は注意

風邪薬に加え、忘年会シーズンに向けていろいろな薬のCMが増えてきた。

薬局や薬店で買える一般大衆薬のことを、アメリカ式に0TC薬ともいう。薬がカウンター越しに渡されることを意味するオーバー・ザ・カウンターを略したものだ。

さまざまな人が自由に扱うことを考慮して、大衆薬には厚生省が認可した成分と量が配合されている。これらは用法・用量さえ守れば副作用がほとんどなく、安全性の高い薬だ。

使い方にはコツがある。風邪であれば、かかったかなと思ったら服用する。症状が軽いうちに早めに用いることが肝要だ。

また、2、3日飲んでも熱が下がらないようなときは、病院へ行くべきだ。肺炎や気管支炎に移行していたり、風邪ではなく急性の肝炎にかかっていたりするからだ。こういう場合は病気の根本原因をたたく抗生物質などの医療用の薬に頼らなくてはならない。

セルフ・メディケーション(自己治療)の意識が高まる中で、安全でより効果のある医療用薬を一般向けにした薬が店頭でも買えるようになってきた。これらはスイッチOTCと呼ばれる。症状をよく見極めて、このような薬を的確に使用してもらいたい。

ただし、副作用の少ない大衆薬といえども、2種類以上の薬を混ぜて飲むときや、医師からもらった薬と一緒に飲むときは注意が必要だ。必ず医師や薬剤師に相談してほしい。

また、どんな大衆薬でも3カ月未満の赤ちゃんに飲ませてはいけない。3カ月以上であっても、赤ちゃんの場合は必ず専門医に診せるべきだ