『第436話』 週末頭痛と予防薬
仕事から解放され、リラックスするはずの週末になると激しい頭痛に襲われる人がいる。
これは仕事時には緊張して収縮していた頭部の血管が、ストレスから解放されたことで緩み、血管の回りの神経が刺激されたために起こるものだ。いわゆる片頭痛の症状で、週末に起こるものは「週末頭痛」などと呼ばれたりする。
緊張しているときには特に痛みはないのに、血管が拡張すると痛みが始まる。ピーク時には血管の周囲が腫(は)れ、炎症を伴ってずきずき、がんがんと容赦ない痛みが訪れる。
血管を拡張するような薬、例えば狭心症のニトログリセリンや血圧降下剤の一部なども頭痛を招きやすい。
片頭痛の痛みには、エルゴタミン製剤やアスピリンなどが頓服(とんぷく)薬として処方されるが、痛みがピークに達してから服用してもあまり効果は出ない。「今痛みが来そうだな」というときに服用するのが最も効果的だ。
片頭痛の前兆として、視野の一部が暗くなり、その部分にきらきらとした光やまぶしいぎざぎざの線が現れる閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる症状がある。
その20~30分後に激しい頭痛が起きることが分かっているので、この前駆症状がある人は、この段階で薬を飲むのが効果的だ。
また、片頭痛には悪心やおう吐を伴うことも多い。痛みが始まると胃の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、食べたものや薬は胃内に停滞する。
そこで、吐き気止めの薬とアスピリンなどを一緒に飲み、消化管の運動を高めてやると、アスピリンがよく吸収されるようになり、効果が増大する。
エルゴタミン製剤や鎮痛剤を連用していると、新たに「薬剤誘発頭痛」を起こすことが知られているので、服用量については医師や薬剤師から十分な説明を受けてほしい。
月に発作が2回以上ある人には、カルシウム拮抗(きっこう)剤などの服用も有効だ。
カルシウム拮抗剤は血管を拡張して血圧を下げる薬だが、血管の攣縮(れんしゅく)を抑える働きがある。
発作が起きる前、脳の血管はけいれんして虚血状態になっている。それに反応し、一気に血管が拡張して頭痛が起きる。そこでこのけいれんを前もって抑えておけば、発作は回避されるというわけだ。
カフェインは片頭痛の良薬だ。仕事中のコーヒーブレークも忘れずに!