『第448話』 予防接種情報、冷静に判断
16日、福岡県で生ポリオワクチン接種の14日後に劇症型脳症を発症した例と22日後に無菌牲髄膜炎を発症している例があることが報道された。ともに生ポリオワクチンとの因果関係は不明だ。この件で、県民から接種後の副反応について心配するお問い合わせを頂いている。
集団接種は、より安全性を高めるために市町村ごとに時期を決めて一斉に実施することになっている。ワクチンの製造は日本ポリオ研究所1カ所のみ。県内への供給は秋田県薬剤師会が行っている。
医薬品は、一運の製造工程ごとにロット番号が付く。今回問題視されたのはロット番号39で、県内で今春接種しているロットと同じだ。すでに同ロットのワクチンは全国で100万人以上が接種している。しかし、今のところこの2例以外に問題となる副反応の報告はない。
また、昨年供給したロット38に関しては問題となる副反応の報告はない。接種後、2~3週間経過していて、異常が無ければその後の副反応を心配する必要はない。生ポリオワクチンによる下肢まひ等の副反応の発生率は約440万人当たり1人とされ、今回の劇症型脳症と、無菌性髄膜炎は過去に報告されたことがない。現在、ロット39の安全性を再確認する作業に入っていて、結果が出るのは約1カ月後になる予定だ。
ポリオは昭和59年以降、野生株による感染例はなく、今回の接種を控えても秋期に接種すれば問題はない。昭和50~52年生まれの抗体価が低い人で海外に渡航するなどの緊急性があり、強く接種を希望する人は各保健所に相談してもらいたい。
県では、市町村への情報提供をより確実にするため、当センターで運用している医薬品情報ファクス一斉同報システムに市町村の保健医療担当部署を加えることとし、すでに関係部署にファクス番号の連絡を依頼している。
メディアは過大に報道しがちだ。また、専門的な知識が無ければ、不確実な情報を知ることで不安が大きくなってしまう。100万分の2の確率とはいっても自身や家族にかかわること、不安になる気持ちは理解できる。裏付けのある客観的な情報を入手して冷静に判断してもらいたい。