『第450話』 ビタミンDは骨の栄養

骨粗しょう症にはカルシウムという印象が強い。しかし、これだけでは骨からカルシウムが溶出するのを防ぐことはできない。ビタミンDの補給と骨に適度な負荷を掛ける運動が必要だからだ。

ビタミンDの成分名は「カルシフェロール」といい、カルシウムの運び屋という意味を持つ。ビタミンDの欠乏で、骨の成長が阻害されるとくる病になる。ビタミンDにはいくつかある。実用化されているのは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)でどちらも同じ働きをする。ビタミンD1というのはない。最初に発見された成分が混合物だったために、その名前が廃止されているからだ。

ビタミンDは、腸管からカルシウムとリンの吸収を促進するとともに、骨からカルシウムとリンが溶出し、逆に石灰化する働きを調節して、2つのイオンの恒常性の維持に働いている。

ビタミンDを多く含む食品には、サンマ、マイワシ、さつまあげ、うなぎのかば焼き、豚レバーがある。面白いのは、シイタケよりも干しシイタケの方がビタミンDが多いことだ。

実は人の皮膚の中でもこれと同じことが起こっている。皮膚の組織中に、脂肪の代謝によってうまれたエルゴステロールと7-デヒドロコレステロールというプロビタミンD(ビタミンDの前駆物質)があって、紫外線が当たることによって変化し、それぞれビタミンD2とビタミンD3に変わる。つまり、紫外線に当たると体内にビタミンDが自然とできるというわけだ。

最近の研究によれば、ビタミンDの80~90%は太陽光線による皮下合成によって得られるとしている。日光に十分当たることができる日本人は、不足することが少ないビタミンといえる。しかし、北欧やシベリア地方では、冬の時期全く太陽が昇らなくなる。このため、人々はビタミンDの服用か人工の紫外線に当たっている。

成長期には、屋外で運動することが必要だ。30分から1時間程度で十分。日焼けするほど屋外に出る必要はない。テレビゲームもいいが外で遊ぶことも忘れずに。