『第460話』 イオン飲料の上手な利用法

猛暑の中、屋外で仕事やスポーツをするときには十分な水分補給が鉄則だ。

失うのは何も水分だけではない。汗で水分のほか、塩分やミネラルも失われていく。これらが過度に失われると、熱中症や脱水症を起こしやすくなる。

水分補給のため水やジュースをたくさん飲む人は多いが、塩分やミネラルの補給はできていない。

そこで、体の水分と同じ組成をもつイオン飲料(スポーツドリンクなどともいう)と呼ばれる飲み物が効果的だ。吸収が速く、水分の回復も速い。

おなかを壊し、下痢が続くときでもこのような飲み物が利用できる。その場合は、ちょっと味は落ちるが冷たくせず、ぬるいまま飲むようにする。

ゴルフ場でカァーッと飲むビールは最高かもしれないが、これが要注意。

昼のアルコールは体内の水分排せつを調節するホルモンの分泌を抑えてしまう。このホルモンの量が減ると水分が排せつされやすくなり、体は脱水の方向に向かう。

体の中の水分量が減ると、血液が濃縮され、血液粘度が急激に高くなる。特に高齢者の硬く、狭くなった血管は血液が流れにくく、固まったりする。そのため脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の発作を起こしやすくなる。

高齢者の方にはイオン飲料はなかなかなじみの少ない飲み物だが、ゴルフのときにもぜひ上手に活用してほしい。

また、ダイエットには水分を控えたほうが良いと思っている人かいるが、それは大きな間違いだ。

脂肪細胞は水分を含まないので、脂肪の多い人は普通の人よりも水分量が少ないことになり、脱水傾向になりやすい。

入浴も意外に水分を失う原因だ。40度ぐらいのぬるめのおふろに10分程度入るだけで、約500ミリリットルの水分と電解質を失う。

入浴中や入浴後に脳卒中や心筋梗塞で倒れるお年寄りが多いのは、ゴルフのときと同じ理由だ。

普通に生活していても、呼吸や汗などで1リットル、尿として1.5リットル、合計2.5リットルの水分が1日に失われてゆく。暑い夏場にはこれ以上の水分を十分に補給すべきだ。