『第461話』 塩素剤の使用、安全に注意を

日ごろ使い慣れた家庭用品でも、混合すると大変危険な状態になる場合がある。注意を促すために「混ぜるな!!危険!!」と大きく赤字で表示してある「塩素剤」と「酸性洗剤」もその一例だ。これらを少量ずつ混合しただけで発生する塩素ガスは死亡事故が起きるほどの猛毒で、少量でも目や鼻、のどの粘膜に障害を与える。

7月に、福島の小学校で水泳の授業中に、やはり塩素ガスによる事故が起こっている。プールの遊離残留塩素濃度が足りなかったため、教諭が塩素注入装置に塩素剤を追加したところ、急激に塩素ガスが発生した。慌ててふたを閉めたところ、発生ガスの圧力でこの装置が爆発し、カバーの破片で右手甲や左足に軽いけがをした。プールサイドにいた生徒15人がのどや目などに異常を訴え市内の病院に運ばれ、点滴等の処置を受けたというものだ。

塩薬剤といってもいろいろな種類がある。固形や粉末状のさらし粉、顆粒状の塩素化イソシアヌール酸、液状の次亜塩素酸ナトリウム水溶液などが使われている。

塩素剤は、在宅医療、在宅介護が進む中で、施設だけではなく家庭内でも殺菌・消毒を目的として広範囲に使われるようになってきた。ほとんどが液状の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用していると考えられるが、ほかの製品が混在して使われる可能性は否定できない。

こうした混合例だけではなく、有機系塩素剤の塩素化イソシアヌール酸とさらし紛や次亜塩素酸ナトリウムのような無機系塩素剤を混合しても急激に塩素ガスが発生する。

①施設や家庭内で使用する塩素剤は1品目・1成分の塩素剤とし、使用する塩素剤の商品名および成分名を明記して掲示する②無機系と有機系塩素剤を混合すると急激に塩素ガスが発生し、場合によっては爆発する等の危険性があり、目・のどなど粘膜を刺激して危害が起こることを掲示する③無機系と有機系塩素剤を同時に使用しなければならない場合は、1カ所に保存すると混合する恐れがあり、危険なので保存場所を別にする。以上の事項について注意をし、安全性を確保して使ってもらいたい。